第5回
|
|
こんばんわ、こんにちわ、
おはよーございまーす。
クリちゃんです。
こっちは、司会の切り裂きくんでーす。
|
|
|
|
|
もちろん、名司会にして国民的アイドルです。
でもクリちゃんの魅力ってそれだけじゃないし、
そろそろ新しい一面を見せてもいいよね。
今年の闘神大会が終わったら、転向しようかな?
|
|
何に?
| |
|
|
国会議員。
|
|
やめとけ…
| |
|
|
ぶー、切り裂きくんのいじわる。
|
|
いいから、仕事すんぞ。
最初に紹介するカードは、
「戦士カキタロス vs マダラガ・クリケット」だ。
| |
|
私は最高潮であることよなあ
【戦士カキタロス】
数年前から大陸で知られ始めた数々の名歌の作者、仮面歌人サルマール。
心打たれた某国の王妃が宮廷歌人としての登用を掲げて探しているが名乗り出ない、この歌人の正体ではないかと噂されているのが、戦士カキタロスである。
ソード使いでありながら、出身国JAPANを出て大陸に渡って以来、それを封印していたというカキタロス。
事実、こちらで出会った彼の恋人であり大会パートナーであるハナコは、彼を平凡な傘張り職人だと思っていたそうだ。
「妙〜にケンカに強いとこはあったけど…ソード使いだったなんてね。ま、いいのよ。こうなったら、とことんつきあうだけ」
JAPANで政権争いに巻き込まれ、処刑されるところを逃れてきたという噂が事実であるとすれば、彼が平穏な生活を捨て再び剣を取ったのは、追っ手がかかったからであろうか。
存命であることが敵に気づかれた理由は、名を隠してでも詠まずにいられなかった数々の歌の素晴らしさに他ならないだろう。
まったく皮肉な運命であることよなあ。
生き残っていたムシ使い
【マダラガ・クリケット】
某大国の先住民族でありながら、その特殊能力を疎んじた政府に隔離政策をとられ、最終的には滅ぼされたとして知られている「ムシ使い」。
しかし、殲滅作戦から逃げ延びた生き残りが存在したのだ。
それが彼、マダラガ・クリケットと、パートナーの少女、アザミ・クリケットである。
取材班は単独行動中のアザミ・クリケットとの接触に成功し、インタビューを試みた。
以下がその模様である。
──クリケットはムシ使いに共通の姓だそうですが、あなたとマダラガ氏に血縁は?
「…………」
──えー、マダラガ氏はあなたのお兄さん?
「……アザミのにーちゃは、死んだ」
──ではマダラガ氏とは他人なんですね?
「…………」
──(もう、そういうことでいいか…)一部では、R国の富豪A氏の惨殺事件とマダラガ氏の関わりが噂されていますが、それについては何か─
「…ちょうちょ…」
──あっ、待って下さい、待ってって! あっ…
取材班がマダラガ・クリケットと遭遇した為、記録はここで途切れている。
全治二ヵ月のインタビュアーに代わり、この二人に近づくことへの警鐘を鳴らしたい。
|
カキタロスさんの宣材写真って、カルタみたいだねー。
|
|
追っ手がうんぬんってのが本当なら、
こうして大会出場で名が知られちまったら、
後には引けねぇな。
どんな剣技を見せてくれるかも楽しみだが、
決着後に詠まれるだろう一首も楽しみだぜ。
勝利の一首を聞いてみたいもんだ。
| |
|
|
相手のマダラガさんが使うのはムシだし、風流かも。
でも、勝てるかな?
|
|
マダラガも相当過酷な状況を生き残ってきたみたいだし、
かなり悪そうな奴だしな。
どんなムシを使ってくるのか不明だが、
面白い勝負になるかもしれん。
| |
|
|
ぱうぱう、ぶっちゃけ、マダラガさんには
ちゃんとした立ち絵がある時点で、
勝敗は目に見えてると思うの。
|
|
わあああ!
それを言うな!!
| |
|
|
カキタロスさん、頑張ってねー。
次のカードは「十六夜幻一郎 vs アッシュ・根性」です。
|
|
正義の心を持つ無敵の忍者
【十六夜幻一郎】
忍者とは、JAPAN発祥の様々な暗殺術と忍術を駆使して諜報活動を行う、隠れた存在である。
彼が属する「十六夜流」もその例外ではなく、実態のほとんどが謎に包まれている。
──ただ一人、彼、十六夜幻一郎を除いては。
正義感が強くコソコソすることが大嫌いな彼は、各地で颯爽と現れ人助けをする姿を目撃されている。
その彼が、本年、何を意図して闘神大会に出場しようというのか?
取材班は彼に倣って正々堂々と本人への取材を試みた。
…が…
「出場の理由? そっ、そんなこと言える訳ないでしょ、秘密よ、秘密っ…! お兄様への取材は禁止するわ、私が許さないんだから」
「はっはっは、桃花がそう言うなら仕方あるまい。諸君、諦めてくれたまえ」
彼のパートナーである十六夜桃花に取材拒否を宣言された。
二人は実の兄妹であり、仲良く腕を組んで街を歩く姿が目撃されている。
だべしだべしの闘神になるのだのロココ
【アッシュ・根性】
アッシュ・根性はこう見えて天才である。
某大国の辺境で生まれながら、中央の最高学府を飛び級で卒業するほどの頭脳を持ち、身体能力は国際競技会の各種目で国家代表選手の候補に入る程。
(ただし、「蛮カラ」である彼は素行不良を理由に実際に代表に選ばれたことはない)
ただその天才性は、あまりに天才的すぎて凡人に理解できる形では発揮されない。
闘技会に出場し優勝する──いわば普通ともいえるこの目標を、彼がなぜ突然思い立ったのか、その真意は現時点では謎のままだ。
なお、こう見えて地元の顔でもある彼だが、女性にはさっぱり縁がないので、パートナーは金で雇ったいわゆる「パートナー屋」の美女である。
交渉は彼の天才的な言葉で比較的速やかにまとまった模様。
「3万GOLDは高いのだ! 6万GOLDにまけるのだ!」
|
アッシュさんって、ぶさいく…
|
|
言ってやるなよ。
| |
|
|
幻一郎さんは、とってもイケメンさんだね。
立ち絵もあるし──
|
|
言ってやるなよ!
| |
|
|
クリちゃん、この試合楽しみだなー。
早く勝利が、あっ違った、
どちらが勝つかが見たいです。まる。
|
|
ううっ…頑張れよ、アッシュ・根性。
俺は応援してるぜ。
| |
|
|
それでは、また来週〜。
|
|